2月7日(金)

NO,099(ゴルフギャレーヂ は こんな店 その2)

 


 
以前ご案内したように 店内にはヘッドのサンプルが棚に何個か置いてあるだけで 試打クラブ以外にはボールが打てる完成品のクラブは殆どありません。普通のショップであれば来店されるお客さまには「いらっしゃいませ!」と元気良く店員が声をかけ笑顔とサービスを売り物、いやそれが当たり前で それ以上の何か他店に無い魅力、メリットがなければ敬遠され商売が難しい時代でもあるようです。 
当店に何年か昔来場されたS氏のお話しです 今は笑い話になってその時のメンバーが偶然何人か店で集まる度に“語り草”になっている実話です。
朝から結構忙しなく次々の来場者が有ったその日の確か昼過ぎ当店常駐のインストラクターと所属のティーチングプロ、来場された研修生との数名が奥のテーブル辺りに群がりゴルフ談義をワイワイとやっていました。店主の私は先客を相手にクラブの出来映え、良し悪しを手前の工房で手振り身振りの香具師状態で説明中です そんな状況で物静かに戸を開け玄関口へ入ってこられたS氏は玄関先の土間で(靴を脱ぐのか?)と目されました。それに気が付いた私は「そのままどうぞ!」と接客の途中でややブッキラボウな言い方しか出来ません。S氏も店に入った限りはその直後に「廻れ右!」とは出来なかったに違いない様子。恐る恐る沈黙のまま奥に進まれました。棚のヘッドを見ている様で 見ていない様であたりの雰囲気を伺ってらっしゃいます 店員と思しき連中に声を掛けるのか?どうしたらいいのか?さっぱりお分りにならないまま心の中では恐らく奥で話し込んでいた彼等の顔色を見て尚更ビックリされたにも違いありません。と言うのも専門職の彼等はプレイの多さで真っ黒な顔とスコアーがアンダパーやパープレイレベルの話しばっかしが耳に入って来ます まして先客がいる為店主の私を待つ間クラブの理論や経験したチューンナップ講義も既に始まりました S氏は平静を装ってらっしゃっても「場違いな所に来てしもうた どないしょう?」と思っていたと後に告白されています 私の接客が一段落し一瞬静まった後店主の一言、「どんな御用でしょう?」 S氏がおっしゃいました「この店で最初に僕は如何すれば良いんでしょう?」が第一声であった事を覚えています。
 
当店では直ぐ買って頂く商材が山のように積んで用意が出来てはおりません それどころか先ず「直ぐ」とは言える物を扱っておりません。またどんな御用、要望で来場され私ども、店主の考えをご理解、またご紹介頂けているかは最初に判断はつきません。なかには入ってこられて店内を見渡してから
「この店は何をする店ですか」と聞かれる事もありました 案内はすべて丁寧にしているつもりですが ひとしきり聴いてご覧いただき“チューンナップ・リペアー・オーダークラブ” が言葉と頭でご理解いただけませんと お互い時間の無駄になります そう云う主旨でお客さまが来店された時に「いらっしゃいませ!」の掛け声と共に「何を説明し如何勧め作業するか?」店主が分らないまま 妙にプレッシャーがお互いにかかる言葉を店主の口から発せられませんし すぐに提供できる商材も物販店なみの在庫がありません。随分お馴染みになって頂いても「コンチワ 今日は?」とご挨拶するのが店主の最高の表敬であります。
 従ってどちら様が来店されましても 先方から御用があり声を掛けて頂くまで 店内をひとしきりご覧いただき そのまま黙ってお帰りになっても「当方へ間違って入ってこられた御用の無い方」と思って双方無言のままの状態でお帰りになります。
 
S氏との付き合いが始まりチューンナップや何かと作業をたまわりクラブセットもすべてオーダー頂きご用意しました。何年か後のある日 やはり物静かに入ってこられて「これ皆さんで食べてください」と シングル入りを果たされ その報告に来店頂いた時 あの時の“後に引けない心情”を笑いながらおっしゃるお付き合いは これからも長くなるに違いありません。