6月10日(火)

NO,115 (数値管理の是非と盲点 ヘッド編の続き

 


 
アイアンヘッドに品質を求めるとトップシェイプやフロントシェイプ、ネック曲面の流れが番手間上手くコンビネーションされているか、ネックの刳られた(えぐり取られた)研磨部分のシルエット、パーカッションエリアの位置関係におよぼすバックフェースのデザイン、鍍金の種類やその厚みなど…様々な観点から精度と規格を追求できると思います。 おおよそ曲面で仕上がるウッドは出来上がった固体差の大きい仕上がりスペックに比べ フェースの平面が基調になるアイアンでは比較的スペックも単純になり視覚におよぶバックフェースのデザイン重視となる観点がポイントのようです
 アイアンヘッドに於いて鍛造工場や鋳造の工場は如何に品質を高めシェイプの整った顔形状、ヘッド重量、打点の広さ、位置の均一化されたヘッド・・・を造ろうとしても難しいポイントは幾つか有ります
 昔より鍛造で打たれたベタ型ヘッドを粗研磨からシャフトの挿入孔を空け仕上げ研磨、鍍金を施すまで各工程で必ず重量を計り最終仕上がりの重さを見越して削っていました ところが視覚的なデザイン面、性能を高めるためにデコレーションされるコンポジット材、CNCマシーンでアンダーカット仕上げや中空空洞部分を作り構造を複雑にする事で最も大切なヘッド個々の重量管理を疎かにする不具合が今は生じています
 また姫路辺りの研磨職人達は鍛造ヘッドに秀でた職人技を持ち工芸品的な素晴らしいヘッドを供給してきましたが最近は量産化の波に押され拘りの一品とまでは時間や経費面で合わないようで 元来の重量管理と顔形状(シェイプ)を双方調える事の出来る「研磨職人」が少なくなってきたと聞き及びます。 
 当店でも定番化している“その工場のそのモデル”を最近#5から後の番手を受注した為改めて#3、#4以外のオーダーした場合 研磨工程で一擦り(ひとこすり)違った為にヘッドシェイプが全然違って見えてしまう研磨工程の大切さは工場が生産するマーク数の多さや研磨する職人の腕ひとつ 覚えひとつで決まるものだと実感します
 あるメーカーは以前から鋳造の生産ラインで出来あがったヘッドに様々なシャフトバリエーションをカタログラインに掲載し価格帯にボリュームを持たせていました 実は「精密鋳造」と言えば聞こえは良いようですが“ロストワックス”には所詮本来の研磨職人は必要としませんし量産品にはもって来いの製造法でヘッドの単価は研磨工程が省かれる分鍛造品からは随分安く作れる製法です  鍛造ヘッドは研磨工程で重量をあわせる事が出来、形状、シェイプと見比べながら工程を進めます 普通鋳造品のヘッドでは研磨で落とせる重量の限界があり また研磨工程を極力省くことに量産化の意図する目的がある訳です シャフトの重さもカタログ上様々な重量で一体如何してカタログバランスを出せていたのか今でも不思議ですが鍍金の厚みで随分厚い(重い)鍍金がかかるようにツリーの位置に気を遣っていたのであれば未だしも まさかネックに鉛をつじつまが合うまで入れていたとは・・・・でした。
 未だ昔であれば一定(それでも公差は随分あったと思われるが…)の重量で出来たヘッドにスティ−ルシャフトを装着するとき#3ironの長さを38.5インチの基準で始め グラファイトシャフトを装着するとき#3ironの長さを39インチの基準で始めてバランスを出すメーカーもありました 今グローバルスタンダートは#3ironの長さを39インチ弱の基準で始めるようです そうした場合でも当然ヘッドの重さはシャフトの重さや短い番手になると共に徐々に増えシャフトが短くなっても スウィングバランスが定数化されるのです 
 ここで面白い見分け方を記しますと昔より鍛造品で一世を風靡した とあるメーカーのシグネイチュアーモデルがありました このモデルは近代の名器と呼ばれ“マッスルバック”の原型となったものですが初期ヘッドのソールデザイン、その幅、丸みが数年後の最終期にはまったく違うモデルのように変形して造られていました 研磨の段階とも考えられますが実はあまりに売れすぎた為 もともとの金型がダレテ(弛んで)バリの部分を多く削り取らなければヘッドの研磨がスタートできなかったのです すなわち上下一対の金型が消耗して左右、上下にズレ、バリがたくさん出て薄く、小さくヘッドが仕上がってしまうのです これらの一因にある結果はひょっとしてお持ちのクラブでネックの長さに注目される事が同様にあります 普通クラブをバッグに入れていて気付きにくい事ですが床にクラブを立て掛けてネックの長さを比べてみることです そうすると明らかにネックの長さがランダムになっているクラブセットがあります この場合決してフローした規則的な違いではありません あくまでランダムな状態です これはヘッドの重量をネックの長さであわせている事が考えられます もろに見えなくても実は量産品の中にはシャフトのインサーションディプス(挿入孔の深さ)を必要以上に深く空けて(掘って)重たい状態を回避しているメーカーもありますし 当然のように真鍮や鉛棒をシャフトの内側に放り込んでバランスを重たくしている場合も多くある状態です
 根本的な部分で先ずアイアンヘッドの基本は無垢な一体物です 一個だけの個性が生きたウッド  (使う目的で多少材質や構造がそれぞれ違うウッドではなく)ではなく 均一の規則的な増減がある重量が大切と思います 次にシェイプであり 以下材質やデザイン等…ではないでしょうか