9月19日(金)

NO,129(よくボールが止まるウエッジを考えるシリーズ 下)

 


 「よくボールが止まるウエッジを考えるシリーズ」2回目の今回は 最近当店に持ち込まれるウエッジでT社の○◎●モデルが最近皆さんのなかで話題の一つに上っているようで 反対に当店へは「何か変?」と数多く相談を受ける事を今回店主が多少の解説をして それらに苦言を呈します。
そのウエッジにはシリーズでコンビネーションするアイアンセットも在り、10/IRON(十本組)で持ち込まれる場合も結構多く 当店でチューニング作業の依頼をいただく店主と致しまして“非常に成果がハッキリ良く出る チューン作業の値打ちと、仕事として非常にやり甲斐あるクラブ”と評しております。
先ずシャフトを抜いた時 シャフトの先端から真鍮のロッド(棒状の真鍮)が顔を見せます シャフトの内径に合わせた棒状で真鍮製の筒(微細な穴を空気抜きの為そのセンターに空けてある)が入れてある番手、クラブが過半数以上はありますし 軽量のスティールシャフトがモデルによっては装着されているセットクラブ程なお酷い状況のようです。
真鍮筒がグリップの方へずり上がらないように先端はストッパーの役割でシャフトの外径に合わせて傘状に広く(厚みは約1.0mm)まるで“金色のイモムシ”がシャフトから顔を出しているような状態です しかも最後まで(傘の部分まで)差し込まれていないで 本来シャフトの先端が先ほどの約1.0mm以上を残して装着されている形となっています 金色のイモムシをシャフトから抜き取る場合、バーナーで炙って糊をバカにしてプライヤーで傘の部分を摘んで抜き取る作業をするのですが 引っ張っても引っ張っても埋め込まれた真鍮筒は長い分だと長さが30数ミリメートルもあったりして(その重さ約8.0グラム)ヘッド単体で元々の重量が一番手以上軽く仕上がっていた事にもなる計算です。
 ※IRON♯3よりIRON♯4の重さは6〜7g重たく作られていて番手
   間、順次長さが短くなるほど重さが増して推移し(♯4<♯5<
   ♯6・・・の様に・・・)
  S/Wには最も重たいヘッドが装着されている。 またシャフト自体
    の重さやバランスポイント、クラブの長さ、装着されるグリップの重
    さや下巻きテープを巻く回数でヘッド単体の重量を事前に考えて
    指示されたバランスに組み上げる事は本来可能な職域上(オー
    ダークラブを製作するクラフトマンでは)当たり前の承知の事であ
    るのですが・・・

当初から量産品のクラブはヘッドの重量管理が大雑把で「公差内」での“軽い目のヘッド”にアジャスト鉛(聞こえは良いが単なるツジツマ合わせ)を挿入したうえで組み上げられているのです が、入れる量や重さの問題はあまり表沙汰にはならなかった事であったと思われます しかし今回入れられていた量の多さもさる事ながら(入れてあって仕事上も当たり前のいい加減さ)より当初から店主が驚いていた事に シャフトが装着されるネックの底にシャフト挿入孔の直径よりやや小さめの直径で“下穴”が空けられていた事です しかもその深さはネックの下端のぎりぎりまで空けられ外部からは全く分かりませんが まるでネックは“壁の薄いトンネル状態”です。 
それまで来場された消費者に店主の口から そんなT社のヘッドについてコメントしていたのは 
「ヘッド重量の重いグラファイトシャフト用と軽いスティールシャフト用の予測した販売数量の発注数間違いか、 急きょ指示を違えスティールシャフト用の軽いヘッドを作るように訂正した為に グラファイトシャフト用のヘッドを軽く加工する為の苦肉の方法でこうなったんじゃないですか?」
この様にお話ししておりました 
軽量タイプのシャフトが装着されているセット程ひどい状況の様子は 当初は従来どうりのダイナミックシャフトクラスのシャフト重量を装着する予定で工場を稼動させ 結果は100gを切るシャフト重量(NSプロ・950GH)のセットに人気が集中した事で下穴を深く空けすぎていた為に今度は大量の真鍮筒をシャフト先端に放り込む羽目になったと店主も自身で勝手に判断していました。 
しかし先日ある確実な情報筋から訊いたところ 海外工場の研磨技術レベルでは精度の高いヘッドは未だ作れず 当初から下穴を深く空けすぎてでも軽いヘッドを生産させて 組み立てる時点でスウィングバランスをカタログスペックに合わせる為には イモムシ真鍮をバランス数値が足りるまで放り込む考えであり発注、製作者側が意図した「善からぬ作為」が最初からあったという事でした。

定規の上下は1SET(10本)の
シャフト 先端に詰められていた
真鍮製バランサーです。

 シャフト先端から金色イモムシ
 が飛び出している為、先端はア
 イアンの挿入口の底まで達しな
 い例

ひょっとしてロフトやライアングルを捻ろうとしたならその薄い壁が引き裂かれ もぎ取られた状態に化してしまう怖さが秘められていた事でしたし まして打点(パーカッションエリア)の位置設定や計算上モーメントの数値は 元々のマスターデザインは見栄えも良い物だけに一体如何考えているのでしょうか? 海外工場の技術レベルは年々向上しています しかし最も安いコストしかかけず まだ未熟な発展途上の海外工場で作られる“世界的なブランド”のアイアンヘッドは 消費者が外から眺めているだけでは判断出来ないネック内部の構造や 出来上がったクラブのロフトやライアングルは使ってみるまで分からない(測定するまで)その程度の出来映えが事実です。
当店で去年、クラブ供給をすべてT社から受けている あるツアープロから 
「ヘッドはそのまま使用して ゴルフギャレーヂオリジナルのグラファイトシャフトに交換しアングル調整、グリップ装着、リシャフト・フルチューニング」
の依頼を受け作業を致しました。 ネックは前記の状態ではなくヘッドの重量はキッチリと管理されていて しかもネックには何の詰め物も入っていません。 またドリルの刃を当てても店主の経験からはヘッドに使っている「鉄が違う!」ように感じたのは満更間違いではないようです。(量産品は自らが捻っても硬いが プロ支給品は捻ると“軟らかい”のが経験から事実分かります! )
「軟鉄」でも違いがあるのは 厳密には素材、成分が同じでなく 材料の熱処理や鍍金も量産品とは違うフィニッシュがされているのです。
先ずブランドを信頼し価格も確かにリーズナブルに設定された売れ筋の商材を購入される一般消費者は こんな現実状況を如何お考えになるのでしょうか?