1月27(火)

NO,146(チューンダウンに御意見番は必要でしょうか?

 


 
先日ある出版関係の方から電話を頂戴しました
「チューンナップショップは数多くありますが 一般消費者が安心して作業を依頼し 技術や価格を任せて安心な優良店を選ぶ方法はないのでしょうか?」という質問です
当然私の思慮の中には一刀両断に答えを出す「コレッだ!」という考えは腹の内にある訳ですが、今のところ所詮は手前味噌な事ばかりで それらを誤解され、高慢や過信にとられてもいけません 言い出せばキリがないし私の性格上止まりません この業界で自分の居場所を狭くするだけの値打ちを落とすような会話になってもいけませんので その時はグッと堪えて 
「消費者が賢い眼を持ち 御自分で判断されるしかないでしょう」と答えました。
先日は当ホームページの質問箱にも東京都在住の方から また、他にもしょっちゅうメールで個人の方々がチューンナップショップの持つ技術格差への苦言や クラブ工房側のいたらぬ部分、お気付きの点、ゴルフ業界のいい加減さを御指摘いただいたり
「こんな場合どう処方するかだけでも・・・」と“尻拭き的”な問い合せを全国から当方へいただきます どうもゴルフギャレーヂは駆け込み寺的な様相になってきて クラブ専門相談室、苦情承り係であり 作業内容を批評、示唆して結果、作業の内容まで指示する“ご意見番”も務めているようです
ところでもともと私の(修理の)師匠は気さくでオゴラない尊敬できる真面目な人であります 偶然師匠が振動数やスパインテンションの事で疑問があって当方へ問い合わせをくれる時でも 
「中井君チョッと教えて〜や〜」で始まり「フーん」で終わる場合が大半です 教えるどころか(たまたまサイエンスな部分ではチョッと私が師匠より知っている程度ですが)こちらが知りたい技法やコツを反対にたくさん教え聞かせて貰っています すべてオープンに作業のポイントを的確に教えて貰える安心と、根っから冗談が言える親近感が30年近く続き 本当にありがたい付き合いをしてくれる師匠であります
教えて貰いだした頃、手伝おうにも何をして良いか分からず黙って私は見ているだけでした そのうち「やってみぃ」と言われて尻込みしていると「やらんなあかん 覚えへんで!」と諭されました やがて少しづつ覚えた仕事が今に生かされています 教えて貰った師匠に授業料を払う訳でもありませんし最後は一人立ちするのに試験はありませんし 合格とも不合格とも告げられません ましてその後に儲け具合を探られる事も、教授料の請求も当然ありません 
今なお、この業界では資格審査や登録認定、組合や協会が全くありませんから ある日突然チューンナップショップが開店して そのオーナー職人は昨日まで素人の人が個人の“好きでやっていた事”が仕事として請け負い、作業代金を頂戴しても一切問題はないし 実は生業としてやれているのです それは現実に見よう見まねで手先の器用な人であれば プラモデルを作る感覚でクラブも組み上がってしまい ゴルフ工房が繁盛している事が現実にあるのです 
消費者は手短にグリップ交換や 流行のシャフト交換はごく近所のチューニングショップに行かれるでしょう 消費者はどちらのショップでも技術レベルは同じだと考えてもっともです しかし違いが歴然とするのは見て、触って、振って、球が飛んだ結果、比べる対象が二つあれば分かり様もありますが「出来ました。コレです!」と言われれば答えはそれでしかありません 費用、代償を安くしてくれればそれもサービスでしょうし 安い、早い、は当たり前で 他店では断られ続けた無理、無茶な注文を「真似の出来ない特殊作業」で仕上げてしまう怖い内容も存在していた事が明らかに通用するのです 
多少の流派、流儀があっても持ち合わせる最低技術レベルは どちらの店にも通じる及第ラインがあるわけでは無いのが現実です
費用、価格面でも当店に問い合せは随分頂戴します WEB上には 物販するショップが安売り、激安のタイトルで店々がひしめいています 国産のナショナルブランド品や 輸入ブランド品でも並行輸入されて価格の訴求で売るしか昨今の手法は無いのが現実でしょう。 北海道の方も沖縄に住まわれる方も同じ商品、商材ならば安く、早く手に入れたいのが心情でしょう 当たり前ですが ナショナルブランドの商材は誰しもが安く買う事で満足する“物欲の骨頂”ではないでしょうか? たまにシャフトだけを持ち込まれ 当店にヘッドと装着依頼をいただきます それはそれで仕事として有り難く頂戴する事です しかし買われる価格はネットショップで最安値を探し、運賃計算もしたうえで購入されたシャフトでしょうから 当店の「装着費用」でヤケに値がかさみ 反って高くつく様では意味がありません 反対に装着代が他店より高くても装着が肝心と思われる方が来場されているとも考えられます。
ではチューニングショップで消費者は何を求めて仕事を依頼するのか? 問題点と疑問はそこにあります 「チューンナップ」が「チューンダウン」では洒落にもなりませんから消費者にとって作業を依頼後、以前より球が真っすぐ良く飛ぶ、飛ばない? 同じシャフトでも装着方法だけで 曲がらず打ち易いかどうかの結果が分かれ道です また後々のメンテナンスも含め そこに係わる技法や手段 作業経験や動向、思慮が店側の技術レベルにつきまとうのです 又これらの作業には価格の取り決めや平均の作業料金体系はありません 店独自の設定で同じシャフトが グリップがメーカー希望小売価格より当然安く訴求され 装着にかかわる費用が適当に上乗せされます いくら部材を安く買っても付け方、管理の仕方が不味いとシャフトは、グリップは、部材はそれぞれ本来の役目を成してはくれません 消費者は工房で商品、部材を買うのではなく技術、技能も買う事を頭に入れて発注頂きたいのが原点です

私は若い頃(約30年前の大学ゴルフ部時代)“修理屋のオッちゃん”の所へシャフトが折れたクラブを持ち込んだ時、

中井「同じシャフトのS(スティッフ)で直りますか?」

オッちゃん「うん」←うなずくだけ

中井「今度、いつ取りに来たらいいですか」

オッちゃん「・・・」←指を出して4本立てて

中井「じゃあ今日、月曜で・・・金曜ですか?」

オッちゃん「うん」←うなずくだけ

中井「お願いします」

依頼は終始無言で終わったものでした 出来上がりの金曜日クラブを引き取りに行くと

中井「出来てますか?」

オッちゃん「うっ」←ニコリともせず

中井「Sですね?」

オッちゃん「うん」←シャフトを“両手で撓らせて”うなずくだけ幾らですかと聞いてから お金を払ってお終いです

最近でもある彼が経験したショップは DIYで売っている簡単なバイスや電気ドリルしか設備は無く アイアンのアングルを動かそうにも 据付けてある台が床から浮いてしまって仕事にならない現場で作業を頑張っていました
今は違います。 アカデミックにサイエンスを採りいれ 数値を管理する時代です 道具伊達ではいけませんが せめてもっともらしい道具、工具は必要です