6月22(火)

NO,161(一見高級クラブの組み上げは大変?シリーズ4)

 


 当店ではアイアンヘッドが工場から入荷した場合、またアイアンセットのチューニングを依頼いただいた場合、当然の事ながらヘッドのみの重量を 番手を追い一個ずつ測定し記録メモします。日報ノートで“過去から数多くの記事を書き世間に問うた”ように量産クラブのヘッドのみの重量は シャフトを抜いて計ると「元々現実に組み上がった状態のスウィングバランスが出るはずの無い軽いヘッドばかり」です ヘッド重量は軽く出来上がっているのに“嘘のスウィングバランス”は アジャスト鉛や真鍮バランサーがシャフト先端に組み付けられた状態の仕上がりで ヘッド重量のみの“無垢なスウィングバランス”でなく 重量はもともと軽く、番手間の重量差もランダムにしか生産されない 量産モデルのヘッドは組み立て時 辻褄合わせのアジャスト鉛や真鍮バランサー 砂鉛が組み込まれて仕上げられています その為パーカッションエリアは 本来ヘッドがデザインされたポジションと位置は違い クラブの品質に係わり、また球筋に影響する場合が大きいと考えられるのです たとえ別注用のヘッドであっても 研磨や鍍金の工程で幾らかの重量誤差が生じ 発注した重さより若干プラス、マイナスがあるヘッドが納品され仕方なく使われている場合もあります 当店では許容範囲内で やや重たいヘッドが入荷した場合、シャフトの挿入孔の底部に シャフトがそれ以上底部へ入らない直径のドリル刃(5.5〜6.0mm径)で下穴を空け 本来の重量に合わせて軽めに調整し使用します また仕方なく許容範囲内で 軽めのヘッドを使う場合、挿入孔の先端部分(ドリル刃の刃先部分で切削された円錐部分)の穴に 最小量(約1.0gまで)の鉛を円錐型にカチ込んでバランスを合わせるのに重たく調整し使用します 当店の契約、取引先のヘッド工場には形状の注文以上に厳しく「番手間重量ピッチの均一化、重量指定の精度アップ!」をお願いしており 少なくとも軽めでなく“若干量の公差”が重い目にセッティングしたヘッドを当初から希望し“出来るだけ抜いて軽くする事”を考えても“出来るだけ入れて重くしたくない重さ”を見越して番手に応じた重量指定のうえ発注しています 


シャフト挿入孔の深さも問題です。カットしていない番手別の“生シャフト”は先端から第一ステップまでの長さは 番手を追って短くなり(#3用より#4用が半インチ短い #5用がまた半インチ短くなり・・・)ステップの付いていないシャフトも同様に目視出来なくても“シャフトのティップ(先端)カット”はフリクエンシー(振動数)を硬くする要因のひとつになり注意を要します 規格で“一本取りシャフト”は(全番手共通の長さが単一のシャフトで先端をマニュアル通り番手順に多くカットして硬度を出すタイプ)ステップ下の長さは硬さにズバリ影響します 組み上げた場合そのステップ位置が違うとシャフトの硬さの番手比例に影響します ステップ位置を比べ確認する方法はグリッピエンドを床に付け ヘッドを上(天空)に向け並べると 第一ステップの高さ位置(ヘッドからグリップに向ってシャフトの一つ目のステップ)が一目瞭然です 仮にこれがランダムならば また前記のスウィングバランスの出し方 出方がイレギュラーならば クラブの性能上で根幹、規格・品質に問題が生じます(長さのモーメントで出るスウィングバランスや シャフト先端部に入れられた異物の為にシャフト自体の“バランスポイント”までが変わってしまう為) クラブを組み上げ シャフトを装着する時、仮に挿入孔の深さが均一であれば シャフト先端を挿入孔底部まで突っ込み バット側(グリップ側)で長さの処理さえすれば ふつう前記のように確認した時 第一ステップの位置は正しくセットされます ところが挿入孔の深さが番手によってランダムであれば シャフトは先端を切らず すべての番手に生シャフトを入れた時、第一ステップが先程の比べ方からするとランダムになります 仮に一度ヘッドにシャフトを挿し、第一ステップの位置を確認する作業時発覚する事ですが シャフト挿入孔底部には納品時から既に 前記の円錐型鉛が入れられてあったり ネック長が番手によってランダムであったり 糊代の長さ(シャフトがヘッドに入る長さ=シャフトインサーションディプス)がイレギュラーな場合にはフェルールキャップをシャフトに打ち込むまでも無く シャフト先端を挿入孔の底部まで入れず 第一ステップの位置を合わせる為 底部に空間をあけ、強いてはシャフトの硬さを合わせる作業も必要としたフェルールキャップの打ち込み位置を考えてセットします モデルによってはネック長がショートアイアンからロングアイアンにかけてフローし短くなっていくタイプも現存します ところが番手間でのネック長のランダムさ、挿入孔の深さのランダムさ、まして重量管理の不味さで パーツパーツをくっ付けるだけの「糊付けさえしてシャフトを挿せば簡単にクラブは出来上がり!」というものではないのです。
ウッドに於いても同様です。400cc近い大型チタンヘッドや メーカーブランド品の一部、カーボンクラウン製のヘッドが 最近シャフト交換で多く作業する機会があります 当然、製造・重量管理上ヘッド内部は空洞で出来ていて 大きい板状のロゴプレートの下(ヘッド本体側に)や シャフトインサーション(挿入孔)の底部には ヘッド内部の空洞とプラキャップやアルミプレート一枚で仕切られているだけです キャロウエイのソールには黒い小さなゴムキャップで蓋がされていて やはり内部とは貫通した穴が空けられています それ故、当店販売機材の「ホットメルトアプリケーター」が活躍する環境は多い訳ですが メーカー工場ではホットメルトを“異音止め”や“バリ取りの為”の量しか打ち込み使わず なぜかシャフト先端に真鍮ロッドや鉛粉を入れスウィングバランスをカタログスペックに合わせています 先日も高級価格と見なされるカーボンクラウン製の大手メーカーヘッドのシャフト先端に「タングステン製のバランサー」がねじ込まれていて 少量ながらその重量には驚きました なぜ大きい板状のロゴプレートを貼り付けるまでにホットメルトを打ち込んで仕上げないのか? 工場での作業工程ラインの好き勝手がそうさせているのでしょうが これだけの高級クラブでも 手作業の手間、労力はかけず“量産品のヒトくくり”で全く情けない内容です。 いくらコマーシャルではカーボンクラウン部がインパクトでたわんで 凄まじくボールを飛ばす「物理」を演じても カタログスペックに合わせる為の「舞台裏で辻褄を合わせている物理」まで計算しないのが現実のようです。