12月30(木)

NO,176(流行るクラブに特徴を求めた一念・一年

 


 
先週末のクリスマス頃に預かって何らかの作業以来を頂戴したクラブは物理的、時間的に仕方なく年明けの仕事となってしまう状態で 現在仕掛品の棚はほぼ満載の状態です
単品はその場で直ぐ仕上げる事が出来ても アイアンのクラブセットはチャートするだけでも1時間半から2時間ほどかかる為、その場では一時預かっても測定してからでないと何も着手できませんし 
10本近くのシャフト交換をしようにも部材の手配は運送便が年末事情で使えません そのあたりを当店のユーザーは心得て頂いており 内心はやる気持ちはぐっと押さえて「年が明けてから ゆっくりで良いですよ…」と言葉では急かず 当店の来年休み明けからの仕事は有り難く大変な込み様ですが 次々とセット毎頂けてお帰りになります 
その結果、現在棚のアイアンセットは 7セットが預かり品で並んでいます 測定作業前やシャフト交換、フルチューンナップやアングル調整が作業依頼の内容で 内訳は他社別注セットクラブが2セット、国内ナショナルブランド5セット(ダンロップ、美津濃、ダイワ各1セット、ブリジストンが2セット)ですが その“すべてのシャフト”は奇しくも 日本シャフト製NS・950GHが装着されています 偶然であってもこれだけもの950GHが並ぶと圧巻ですし 帯状に真っ白く目立つデカールが70本近く“正面向いてこちらの向き!”に付いていると(当然ですがスパインアライメントは一切されていない様子)ギャレーヂ店内ではかえって妙に異様な雰囲気に見えてきます。
 アイアンセットで数年前までの国内ナショナルブランド製品を考えてみればスティール製シャフトは大抵がツルーテンパー社製ダイナミックゴールドが装着されていました 平行して多種多様なカーボングラファイト製シャフトも それぞれ同じヘッドモデルに装着しカタログラインに用意されていました が、異、スティール製シャフトはダイナミックゴールドか 結構の数量を台頭していたプレシジョン製ライフルくらいだった気がします ところがゴルフ業界久々のヒット商品で ここ暫く数年の間に各シャフトメーカーより発売された“軽量スティール”と呼ばれた、重量100gを切る上記の950GHシャフトを筆頭に多くの軽量スティールシャフトが“大ブレイク”している状態です
昔は(20数年前頃かな?)ダイナミックシャフトより軽ければ“ライトスティール”(TTライト、エクストラライト等…)と呼ばれ それより軽く100gに近づいたバナジウム鋼を使用したユニオン社製UCVシャフトなどは“超軽量シャフト”といわれたものでした しかしダイナミックシャフトの撓りと当時は随分感じが違ってぐにゃぐにゃした“何か変?”な感覚だった記憶です 技術の進歩、時代の変遷でしょうが今では80g台半ばのシャフトも振ってみるとなかなかの“しっかり感”が有り 景気の動向や趣向が変わった時代も反映し 殊更コストパフォーマンスも売りにくわえて 100g以下のシャフト装着モデルの売り上げは随分好調の兆しです 並み居る海外大手メーカー、国内メーカーも追随してバリエーションも豊富な80g台、90g台、100g台とラインナップして「軽量スティールクラス」は各社戦々恐々の様相です
しかしよく考えてみるとスティールシャフトはダイナミックゴールドが装着されていた定番モデルの時代から 殆どのメーカー、モデルは950GH等の軽量スティールクラスがカタログ定番シャフトのモデルへラインナップされる時代へ移り変わる事で 今ダイナミックゴールドやプレシジョンライフルクラスの重量、撓りが必要なプレーヤーまでも950GHクラスのシャフトを使わざるを得ない不合理な状態ではないでしょうか そもそもアイアンクラブの目的を根底から考えてみると 軽く作られているシャフトを使わなくてはいけない場合がどれほど有るのでしょうか 「7番で届かない時に6番で打つ」それが為にアイアンは10本近くバッグに入っています 店頭のキャッチコピーは「飛びます!楽に!簡単です!」であってアイアンシャフトの軽いが為にあり得る弊害は消費者に一切伝わってきません 単に軽く振って飛ぶ事のメリットばかりが訴求され デメリットな部分は伝えられないのが宣伝、コマーシャルです シャフトの軽量化を図れば当然材料(炭素鋼材)が少なくなります 少ない材料であればこそ軽量化出来る結果“スティッフフレックス”であってもダイナミックシャフトクラスの“レギュラーフレックス”くらいの硬さしかありません 尚更軽くしようとするともっと材料を少なく使う結果、その重量であればこそスティッフ、レギュラーとカテゴリーを設けても重量の重いクラスとの硬さは計測器上の絶対値では当然益々軟らかくなるのが実状です
何回もの説明に及びますがクラブにとって、特にアイアンは「シャフトが命」です そのプレーヤーにマッチングしないシャフトが装着されたクラブは しっかり打ったり、あわせて打ったり、コントロールがつかないで飛び過ぎたり、飛ばなさ過ぎたりの危険性をはらんでいますし プレーヤーもオーバースペックでは球の飛ぶ姿、コントロール性に無理を感じやすいものですが アンダースペックでは意に反してなかなか気がつかないものです 少々のオーバースペックや少々のチューニングを必要とするクラブを使う方が 多少以上のアンダースペック領域にシャフト特性(軽く、軟らかい)を持ち替えたとなると 結構楽に球が飛び「こりゃ良いわ!そんなもんだ」とその場限りや練習場では妙に納得するものです しかしコース現場のラフやディボット、アゲインストから気合を入れて打った球の飛びが偶然にも“驚く飛距離”に現れることがあります
ウッドであれば基本は“先ず飛び、そして方向性の順”でしょう 通常ゴルフ場のコースレイアウトで ティーショットで球をたくさんの距離飛ばせば その分セーフゾーンが広く作られています(フェアウエイ〜ラフ〜ブッシュ〜アウトゾーン) しかもそれはドライバーには特に求められても 少なくともティーショットで飛びすぎて危ないレイアウト個所での事であれば #
3ウッドやユーティリティークラブでティーショット代わりに使う場合や セカンドショットで使用する場合の 狙った飛距離を一番として幅、落とし際が飛距離が減小するのに従い だんだん狭くレイアウトされる事を考えて コース攻略は普通“距離より方向性の順”の筈です 思った距離より飛んでもいけない状況を考えると クラブセットでドライバー以外は 狙ったポジションへ先ずは距離を合わせそして幅を考える… アイアンでグリーンを狙って左右にこぼれた場合よりグリーンの奥まで飛びすぎたり ショートして随分梃子摺る経験は何方でも多くある筈です
飛びすぎて危ない個所での事が心配であればアンダースペックな内容で軽すぎたり軟らか過ぎると怪我が大きくなるばかりですから 気合を入れて打った球の飛びが“驚く飛距離”だけでは洒落になりません 何方にも通じますが七割から八割の力で打てと言われても思う様に打てないで「勝手に力の入ってしまうのがゴルフ」です
違う見地からでは今回、当店の棚にあるナショナルブランドの製品や別注用ヘッド装着クラブであっても まったく同じシャフトであれば シャフトの性能自体は同一でヘッドの一部、たかが見た目デザインの少々違いで一体どれくらいの違いが球の飛ぶ姿に、クラブを振ったプレーヤーにその違いが表れるのでしょう? 昔であればスティールシャフトもシャフトメーカーに発注依頼したオリジナルシャフトが付いてあったり 海外製品でも今となっては現存しないメーカー製品のシャフトもありました しかし世に言う“猫も杓子も”
950GHシャフト装着モデルのオンパレードでは そのシャフト性能がいくら優れていても 950GHに重さや振りが合わない方々まで購入される機会が仕方なく蔓延して シャフト交換の依頼や何がしかのチューニングに備え、奇しくも棚に7セット並んでしまう事が不思議ではない事です 今の時代、それだけ「クラブメーカー」は“ヘッドメーカー”であって 昔の頃のようにシャフトをも開発しオリジナリティーな味のある撓りで球を飛ばす「クラブメーカー」ではないのです 実際棚に並んだアイアンセットにはメーカーロゴやモデル名が付いてあるから そこには違いこそありますが(これも悪い言い方をすれば同じような物ばかりと思いますが…)何時もながらナショナルブランドとて中身が真面目に組み上げられていない売れ筋のシグネイチュアモデルや ロフトやライアングルがどう考えても可笑しい別注品、他所様で組み上げられてバランスやアングルが合っていない(著名研磨工場別削りヘッド)クラブが 来年明けから何がしかのチューニングを待ってくれているのです。
お蔭様で年明けは忙しくなりそうです 皆様には有り難く御愛顧いただいた今年一年、また来年もお世話になる様相で心から感謝致しまして暮れのご挨拶と致します。