6月28(火)

NO,190(裸で戦えないゴルファーが直面する悪の根源振動数

 


 
前回の日報ノートでは 殆どの方がアンダースペックのクラブをお使いになっている事を クラブの重量、しかもアイアンクラブに於いてお話ししました 今回ウッドに於いては 如何いう状況が多く見受けられるか?具体的にふれてみたいと思います
 先日サウスポーの男性が来場されました 年代は
50台後半かもう少し上かもしれません 来場時、開口一番「スライスしか出ないから真っ直ぐ飛ぶようにしてくれないか?」でした 拝見すると大手メーカーのドライバーで 最近流行りの
クラウンカーボン(ヘッドの天板部分がグラファイト製でできていて ボディーが撓む構造の)ヘッドです 総重量は300g弱 スウィングバランスはC8強 長さは45インチで ロフトは10度と表記されています どちらかと言うとフェースアングルが さほど左を向いている訳でもありません が、球はスライスして使いづらいという事です サウスポーの方用のクラブは数が多く出回っていませんので ご自分にベストフィットしたクラブ(シャフト)を探す事が困難です この方は以前、当店にドライバーのスパインアライメントで御注文いただいた事のあるお客さまです その作業結果に御満足いただき再度、来場頂いたようですが 以前のように少ない数の中から漸く見つけた お気に入りのドライバーが随分振りやすく球筋も良くなった経験からお考えになった事が
「シャフトが軟らかいと思うので 何とかして(以前のようにシャフト軸でスパインを整えて)硬くならないですか? そうなると真っ直ぐ飛ぶと思うのだが・・・」
とおっしゃいます
私は振動数を計りました 当店はフジクラ製のエアーチャッキング付き(
4Kg/平方p)振動数秤です 300gを切るので平方3kgに落としてエアーチャック、ヘッドを(フェースを)水平に固定して弾きます その結果デジタル表示は245cpmでした 
私は「軟らか過ぎますね」
としか言いようがありません
「この重さではシャフトを潰す危険が多くてトルク計にかけられませんがホラッ 手で廻しても(ヘッドとグリップを持って捻ってみながら)随分多そうですから・・・これだけ軽いと振動数は硬く作れないし 必然的にトルクも多くなるし・・・」

客「Rシャフトを買って来たけど・・・」

「そうではないのです 材料を多く使っていないから軽く仕上がるのです 材料が少ないという事はRのフレックスで作られたシャフトは その重さの中でRフレックスだ、Sの硬さだとは言え 元々、重いシャフトのRフレックスと同じ硬さ(振動数)が保持できる事とは違います 確か以前は結構重たいシャフトをお使いだった・・・」

客「そうそう あのドライバーは最近重いと感じていたし ショップへ行って偶然持ったら(なかなか持つ事すらサウスポーは出来ない事ですから)最新型は随分軽くてよく飛ぶと言う事だというし・・・曲がらない構造で・・・」

まったくショップ店員の受け売りです 可哀想なサウスポーのプレーヤーは全国各地に多く存在します サウスポーの方だけでなく 買って打つまで分からない 打ってからでは返せないから中古ショップ行き ではあまりにも商売が勝手すぎますし
男性用のRを御自身は使っていたつもりが 女性用の硬さしかないシャフトのドライバーを振っていた”とは素直に受け入れて頂けない この業界の勝手な理屈です

※実はサウスポーの方、サウスポーで無い方々に限らず大切なポイントを明確にしたいと思います ここで記した振動数の絶対値は シャフトのフレックス表記とは整合性がありません245cpmは女性用の振動数数値であり いくら軽いからとはいえ一般男性がスウィングする場合 軟らかすぎる為に球が左右に曲がって飛ぶ事が多く又、表記されたロフトより上がり過ぎて距離のロスがあります 長さやバランスが違っても同じ土俵に換算して絶対値が基準より多ければ硬い、少なければ軟らかい 物の道理として答えは出すべきと考えます

 この方が使っていたのは海外メーカーの、その当時は直輸入品が日本の市場に出回っていた頃のRフレックスでした 従って外人(アメリカ人)が現地で使っているクラブを 輸入エージェントが日本人用のシャフトデカール(シャフトに印刷されている絵文字)に変更しFor Japanのクラブで人気を博していた頃のモデルであったのです 時代が代わりヘッド製造の技術革新や 奇抜なデザインが受け アメリカの名立たるプロゴルファーと数々契約を結び メディアにもよく登場する規模となり世界的なメーカーに成長したこの会社は日本に販売会社を設立し くまなく全国のショップへクラブを供給、アイアンやパターにも画期的なアイデア、デザインをヘッドにフュージョン(融合)させて 自らテクノロジーリーダーと自負する会社です 今回持ち込まれた日本用に仕様設定されたシャフトは流石に軽くて50g台ですから 以前の現地仕様シャフトの70g台とは 振り切る為のスウイングテンポやリズムがまったく違いますし 当然硬さの違いも歴然です いえば軽い物(重い物)のSは軟らかく(硬く)、重い物のRは硬くできています が、確かに「以前のクラブより軽く振りやすい」それは良い事でしょうが 重さの違いは明確に硬さの規格が全く違う事に通じる為 以前のタイミングでは同じように当りません
往々にして クラブのシャフトに表記されるフレックスはRだから、Sだから、と書いてあるとおりに仕上がっているものではありません すなわち「整合性や規格がまったく無いのです!」
メーカーが違うと当然ですし 同じメーカーでもモデルが違うと 同じ表記のRでもSでも
「これは硬いRです」
「随分軟らかいSです」
「RのようなSです」
「軟らかく作られたSです」
「硬く感じるタイプのRでしょうね」・・・
少々国語力のある方でも 訳が分からなくなります そこで先ほどの固有振動数秤で数値管理しなければ メーカーやモデルの違いで 一貫性が無く感覚で決める事となるのです
スティ―ル製のシャフトは単一の炭素鋼でできていますから 重いシャフトはパイプ状の肉に厚みがあり硬く仕上がるのが普通です 反対に材料を少なく作る軽量シャフトはパイプ状の肉に厚みは無く必然的に軟らかく仕上がります また基本的にトルクは一定です ところがグラファイトシャフトは元々縦方向の繊維をストレート層(硬さを形成する方向)以外に バイアス状方向(トルクを制御する方向)に組み込んだり 最近ではシャフト軸方向と直角に組み込んだりして
4軸シャフトとして売り出しています その縦、横、斜め方向角度の組み方で積層数は多くなり 硬さやトルク、キックポイントを設計デザインしています 従って軟らかいけれど(振動数は少ないが)捻れない(トルク少)や、硬いけれど(振動数は多いが)トルクは多い また重いけれど軟らかい や、軽いけれど結構硬い・・・という設計バリエーションに幅ができます こうなると一体どのシャフトがRだと決めても どれくらい他のファクターが数値で変わってどう感じるかは 本来打ってみなければ如何判断する事も出来なくなる筈です まして工業製品でありながら個々の部材に個体差があり 例えばある人のドライバーは借りると真っ直ぐ飛ぶので後で同じドライバーを買った僕のは飛ばない事が合ったり 棚に陳列されたドライバーも 2本あれば2本共何処か、何か違う 例えばフェースの向きや グリップの向き バランスや重さの感じ方はワッグルしただけで感じる違いがあって当然のものです
渦中のドライバー、話しの結末は 残念ながらフェース部材の金属がボディー部分のグラファイト繊維と融合(フュージョン)している為 シャフトを生かしてヘッドと分離できず シャフトは切って取り去る事しかきません ヘッドを買ったつもりでシャフトは没にして頂くしかシャフト交換ができませんので その旨伝えた時点で私は一言申しました
「すいません こんな業界で申し訳ありません」後は双方 暫くの間無言でした