4月2日(月)

NO,209 (駆け込み寺の悲鳴

 


 
最近テレビ番組の捏造問題が話題になっています
この業界(もちろんゴルフ業界です)も ひょっとすれば “重大な”とまでは云わなくても「騙し、ペテン、詐欺」と 言われかねない酷い組み上げ作業、内容のクラブに遭遇しました
「まず消費者には分からない、簡単に見破られない」と言うような低レベルな考え 商売、儲け優先で小手先だけの誤った、また手抜きの作業が蔓延し 何れ賢い消費者達がそれに気づいた頃、それまでの手法、技法のいい加減さや 少々は社会問題になるような「消費者をなめた考え」が暴露され 過去から「技術力の差」としか捉えられなかった“確信犯的な過ちの認識”が いずれ公表されれば本当はこの業界にとって良いのでは と思う嘆かわしい事例に私は遭遇したのです

 これから記します内容は 微力ながら日報ノートというメディアを通じて警鐘を発し この業界が少なからず発展を願う一人のクラブ工房店主一個人での文責を持って明らかにするもので 決して捏造した内容ではありませんし 事実を公表する事で いい加減な商売が業界内でまかり通らないように 『ある店』 の実態を記し 消費者も今後賢い選択をする事を望んでこのページをアップするものです 

タイトルは『駆け込み寺の悲鳴』です

 この業界 チューンナップショップ、ゴルフクラブ工房、別注・オーダーメイドクラブ、リシャフト専門店etc・・・など、世間でこういった看板をあげる店がここ最近 非常に多く見受けられます
 
いつも申し上げるように この商売に資格認定の試験はありませんし 連携、組織する組合や協会、登録認定制度も無く 誰彼も無しに 何処でも誰でも 糊を練り 部材を組み付ければ リシャフトや別注クラブの出来上がりで すぐに商売ができるのです 対価に見合う作業、技術の提供が 果たして消費者に対しすべての店々で 満足に出来ているのかと考えると非常に疑問です 当店に来場される方(一般消費者の方々)は なぜかギャレーヂを困った時の“駆け込み寺”と捉えるような気持ちでお越しになる方も多く それは・・・
先日 ある方が当方にアイアンセット、ウッドセットの合計13本を持ち込んで来られました
 
いつもの様に すべてのクラブは数値測定からが始まりです 一度に すべてのウッドクラブをシャフト交換、アイアンクラブはセットで別注をされた御様子 店主の私としましては目前のシャフト交換や別注された直後のアイアンクラブ 計13本が今回チューンナップ作業の対象で 日報ノートの題材にもなる訳ですが どのような理由があるにせよ 遠方からお越しいただき お話を聞いているうちに具体的な数値測定を前に 「何か変?」と既に頭で感じ始めました
 
先ずウッドシャフトの内容ですが ドラ、フェアウエイウッド2本の 3本すべてが同じマーク(同じ種類・硬さ)のグラファイトシャフトです これではドラの長さに比例しないフェアウエイウッドにも(45.3/8インチもあるドラに比べて 各43.0 42.0インチのファウエイウッドは) 軽いシャフトが付いているわけで 硬さも測定数値では260cpmでSフレックスのドラですが フェアウエイ用に振動数が増えておらず まったく硬さが合っていない状態です ドラがベストな状態と判断すれば フェアウエイには ドラのシャフトに比べてやや重く、やや硬く、振動数も増え、合っている・・・であると当店では判断するのですが 組み付けた店側のどういう判断からか 同じマークのグラファイトシャフトが デカールも3本同じく真裏向きで装着され 長さだけが揃ってコンビネーションしているだけで バランスも不揃いで此方ギャレーヂでは納得できない代物です
 
次にアイアンですが 一言「長い!」 ウッドと同じメーカーの80g台後半グラファイトシャフトが装着されていますが#3で39.5/8インチ(P/Wで36.1/8)もあり オーダー時に “短めで仕上げて” という要望も聞き入れられず 当店が測定値を知らせた時に絶句、「話が違う・・・ しかもスウィングバランスも?」 と おっしゃる始末 事実スウィングバランスは #3アイアンでC9.5しかなかった(P/WでD1.2)にもかかわらず クラブ製作を依頼時 作る側の玄人、専門家にとっては素人相手に「チャンとやっときます」との事。 話の流れから察しても ご自身の口からは「そんな軽いとは・・・今まで知らなかった・・・」との弁
 
スパインのお話を聞いていただき 先ずは“シャフトがスウィング中に可笑しな挙動をせず 番手すべてに規則性のある動きとなるよう ニュートラルな状態” でのスウィングをされることをご案内、お勧めしました 現実にそれまでのチャート時点で アイアンのネック(シャフトの先端内)には 何か異物が混入されていることを此方は確認済みです シャフトを抜いた時 異物の除去と シャフトの再装着時に スパインをニュートラルに調整、仕上げにはバックフェース側、パーカッション部分の真裏に鉛シートを貼れば出来上がり シャフトがスウィング中におかしな挙動をせず 球とのコンタクト時掴まり、飛びには違いが出る筈です グリップも新品ですから 抜いて挿せば無駄がありません 部材もすべて再利用の バラして(一度外して)再度組み立てる 「リアッセンブル作業」の受注です ウッドシャフトの考えられないコンビネーションの疑問点をいずれ払拭する為 先ずはアイアンでチューンナップ効果のほどをお試しいただく予定で 即刻お客様側も 此方の進言に納得されアイアンセットの預かりとなり 翌日からいよいよ作業の開始です

 実は当店に持ち込まれる これくらいの“いい加減さ” は過去から日常茶飯事で そう驚く事でもありません ただハッキリ断言する事は 「今回のクラブは別注品で 量産品ではないのです」 しかもその店はメディアにも登場し 表向きは信用性の高い 我々業界内でも看板代わりの“パイロットショップであるべき有望店”で作られ、売られた「オーダークラブ」です  量産品に品質、中身を求めても ある部分無理があり 言い訳のひとつは聞いても頂けるでしょう しかし別注品でありながら グラファイトシャフトが少々重ための内容だといっても 出ているスウィングバランスは如何にも軽いが これだけクラブが長いと・・・ 何か変? と気づいた時 私見ですがここまでやれば“詐欺行為に値する” いい加減な組み付けのクラブ、しかも『驚異的お粗末極まる組み立て』に“組み立て工賃名目”でパーツ代以外にも金銭を支払われたお客様が 紳士的なお考え(実は私より随分賢く、大人のお考えの方)から 事の次第を終えるまで穏便に対処され 「ある店から」購入代金を全額返金となった顛末 すべての話はここから始まるのです

 先ずシャフトを抜きました グラファイトシャフトとはいえ 90gに近い重たい目です しかし挿し代が(シャフトがヘッドに挿入されて糊を付ける部分)が 通常は30mm在るはずが20mmほどしかありません ヘッド側に目をやりシャフトの挿入孔を覗き込みました すると底に見える白っぽい金属・・・錐の利かない金属っぽい色です それは「タングステンの塊」 私どもの“ネックに異物は入れない!流儀” から ドリルの刃を当て切削し 抜き取ろうとしましたがやはりタングステンの塊には鉄鋼用刃が利きません(切削不能!) ヘッドの内側は入り口から少しテーパーが付けられている高級品です 「抜かなければ・・・」 と思うのは 根っからの職人ですが錐刃が利かない塊をシャフト挿入孔の底に カチ込まれていると此方はこれ以上成す術がありません  まして シャフトの糊代(のりしろ)がまったく不足していて いったいこれは? 重量を測ってまたびっくり!
 予定される重さには未だ不足気味です 私はとっさに推測しさまざまな疑問を感じました

※注  スティールシャフトを装着するためのヘッド重量より グラファイトシャフトを装着するためのヘッド重量は 約10gほど重たく作られている。(ヘッドを重たく作り、重たいヘッドを使う必要がスウィングバランスをとる上で必ず必要である)

「何じゃコリャ このヘッドはスティールシャフト用のヘッド重量だ!」 と 驚きつつも自問自答しながら この現実に脈は高ぶり 血圧は上り切っていたのでしょう

-1 なんでシャフトの重さと クラブ長と 出ているバランスに整合性が無いの・・・?  

A “だから クラブを長く作ってもスウィングバランスは如何にも軽かったのか・・・。”

Q-2 なんで少量の何かがシャフトの先端に確認できた、とは言え異物は大した量を確認できなかったのは? そう多量ではないのでいつもの真鍮か鉛塊が入っていても これだけパーカッションエリアは内側にこない筈が・・・? 

A “タングステン塊とは・・・。だからコンコンボールで探したパーカッションエリアがフェース内側だったのか・・・”

※注 タングステンの塊は比重が重たく 少量で重量が増せる しかし加工が難しく単価も高い 一般的には真鍮製や鉛の塊がバランサーとして多く使われる比重 真鍮 約8.4 鉛 約11.4 タングステン 約19.3

Q-3 なんでこんなに軟らかい?

A シャフトの先端をカットせず装着、入り代にそのまま挿入しているため。これが発覚したのは偶然その時店にあった 同モデルの生シャフト(新品シャフト)を横に並べて比べると デカールの位置関係が判明、先端がカットされていない状態で しかも前記のとおり挿し代(シャフトがヘッドに挿入されて糊を付ける部分)が通常は30mm在るはずが20mmほどしかヘッドと接しておらず 一般的な接着長が不足していた
            

Q-4  なんでこんなに無理な組み立て、商売を・・・?  

A 頼んだ店は「グラファイトシャフト専門」の店?だから・・・。少々のいい加減さは見ない事にして その店の“切り口、キャッチコピー”が「フィッティングを受けた後、理想のシャフトだと提案を受け、熟練のクラフトマンがお客様の要望を聴き クラブを預かって最適なリシャフトをしてくれる」結果がコレで そこではスティール製シャフトを社内で取り扱わない以上 品揃えの中では重たいグラファイトシャフトをくっ付けるしか能が無い場合 仕方なく?確信的に?なされた 悪質行為がはっきり感じとられる先だったから

シャフトの入り代をノギスのディプス計で計り下の写真の状態とヘッドを並べて撮りました

通常の先端が入っている長さを鍍金を荒らす(グラファイトではコーティングを荒らす)長さを比べて撮りました

店内にあった新品の同じシャフトでも 先端がカットされていない状態を比べて撮りました。すると先端はカットされず装着されていました。

 という結論に達しました

 すべての不備、不足は お客様に報告 この業界のいい加減な内容、さまざまな言い訳がましい事例と 作業依頼を受けた“ゴルフギャレーヂ”として言うべき事を伝え 一先ずお客様にその場は納得して頂きました が、此方はそれだけでは治まりません このような作業を施してお金をとった「その店」に店主自ら抗議の電話を直接しようとし 了承を得ようとしました そのご返事は
「止めてください要りません 自分で話をしますが もう今後二度と折衝もしたくないし 行く事も無い。荷物にして直接送り返してください」と冷静におっしゃいました  私は もし連絡された時 “相手は素人、うまく丸め込む為にアアで・・・コウで・・・”と言われても と、事前にシュミレーションまでして いざという時の出番を待ち構えていましたが ご自身が「その店」へ連絡され 電話先の担当相手(店長)から購入代金の“無条件全額返金”となった結果を聞き 当店にあったアイアンシャフト、タングステン入りヘッド、抜いたウッドシャフトは指示通りの着払いで送り返しました 実際、“無条件で全額返金される”という事実は「その店」が「引き取らざるを得ない不備、不手際を全面的に認めたという事」と解釈できます 
 荷送伝票上、送り主を「ゴルフギャレーヂと書くか、書くまいか」・・・悩んだ末書かずに送った事が私の精神衛生上、後々極めて仇となる事を知らずに送り届けて このお話は永遠に“お客様と店主の間だけの事にする”で終わりました しかし・・・
実はホームページのトップページには 先日まで
「店主の体調不良により・・・」と記していました あまりにも最近の忙しなさに普段の不摂生、 過労とストレスから血圧が上昇気味ではあったようです そこに今回の
「何じゃコリャ このヘッド(スティールシャフト用の重量)で無理クチャの別注で金取るか?」 と この現実に脈は高ぶり 血圧は上り切っていた事が重なり 挙句は2月19日の昼過ぎに救急車で病院までドライブに行っていたのが実情だったのです
ぶっ倒れたのは月曜で、その週末2月23日の金曜日に予定された、東京ビッグサイトで催される“ジャパンゴルフフェアー”会場内で 私から差し出した5年越しのラブレターが実を結びR&Aの用具規則セミナー講師として来日する 研究・テストディレクターDr、オットー氏との対個人レベルで面談できる約束が控えていた たった30分間の衝撃的な出来事の序章に過ぎなかった 体調最悪の数週間の始まりでありました