12月31日(月)

NO,212 (価格の設定すなわち値段の付け方

 


 
質問BBSでNo879~882に寄せられた質問に店主なりの受け答えをして 感じた事や考えを綴った近々の日報ノートで 私なりにもう少し主張したいことが残っています それは店頭で販売する商品の、作業する労力、価格の設定すなわち値段の付け方です
たとえば流行の大手ナショナルブランドのグラファイト製シャフトは メーカー希望小売価格が設定されています またパーツ問屋製のウッドヘッド、アイアンヘッドや シャフトにしてもメーカー希望小売価格が大半は設定、表記されています グリップも参考小売価格が明記されています 残りは作業する側の労力、組立作業工賃で それらの合算が 一本のクラブを作ってご用意する価格となる筈です
さまざまにネット展開する小売店や ネットのみの商売、オークション系ショップは 自由な販売価格を設定、最安価格を前面に押し出しキャッチコピーは“早い、上手い、安い”の商売に徹しています もともとネットの世界で売られることが無かった時代に それらに対抗するブランド、メーカー品の“クラブで扱う量販、小売店”は 独占禁止法に触れることもなく 殆どの店々では一定の値引き幅で商売し購入ポイント還元、下取り換金を併用して 更なる販売増進を目論んで商売していました グリップ交換など消耗したパーツを交換する程度のメンテナンスや 折れたシャフト交換のメーカー取次ぎの窓口をしていた時代から 今日に至るまで パーツ販売ではない
1本のクラブと製品化している「クラブ販売店」としては一定の仕入れ価格と 割引後とはいえ売れれば一定のマージンが確保できた筈で 商売としては売り上げが上がれば上がるほど順調で何ら問題の無い堅実な内容でした 繁盛店への残る要素は品揃えか 店の立地条件か 店員の接客マナーなのか・・・ 
ところがネット商法で「パーツ単体販売」「パーツ組み立て専門店」が生まれてきた昨今 極力在庫を持たないで 広告宣伝費をかけずに 最低価格を売りに販売する 全国に顧客を持ち着金後か代金引換便を使って 間違いなく集金する商売が流行っていて 買ったクラブ(ヘッド)のシャフト交換や チューンナップと銘打って技術料、装着料、組み立て料が合算され 扱うパーツ全ての品揃えの一因が「組み立て技術料」となって さまざまな価格で売り買いされているのが実情です
そこで同じ物が違う価格で販売されるという 少しおかしな状況が発生し 消費者からすれば「何故?」という考えがあって当たり前となります その訳を皆さんに解説し 同じ物が高く、安く販売価格差が生じる裏事情を一緒に考えてみようと思います
例えば八百屋の店頭に並んでいる旬のみかんは 一山が幾らで売っていても、りんごなら 産地銘柄別に山盛りの中で イチゴのパックは 数多くすべて透明のプラスチックに入って売られていても 我々消費者は「どれを買おうか・・・」一つずつ手に取って 当然ですが腐りかけて傷んだものは買わず 気に入った“最も甘くて美味しそうなもの”を選択して購入できることが当然です パーツも直に見て目利きが出来る人であればともかく 作られるパーツが全て同じ内容、品質、形状で同一物と判断せず 気に入った個体差を見抜く これに尽きるものではないでしょうか 
 当然一本のゴルフクラブはヘッド、シャフト、グリップの
3点で構成されています それらが如何いったパーツで組み上げられているか? ヘッドはヘッドで個体差があり シャフトも、グリップもそれぞれに個体差があります 例えばウッドヘッドのカタログスペックではロフトやライ角度が明記されていても フェースアングルやプログレッションに・・・ またアイアンでは番手間の重さやソールアングルに・・・ 
それが面前で 直に見ることが出来るヘッドでなければ 構えた時のイメージが湧きません 知り合いである方のヘッドを気に入って同じ物をネットの最安価格で買っても到着し 初めてヘッドを見た時 ある方のヘッドと全く同じ物が手に入る事はまずありません やはり店頭で直に見て 気に入ったヘッドを またその時点では店頭に並ぶ前段階では 店主自ら選別した“腐りかけていない新鮮で美味しいネタ”を並べる仕入先を確保していることも大切で どれを購入しても安心できる品揃えを確保しているべきです
シャフトも“個体差の為”に重さ、硬さに一本づつ違いがあり 知り合いのある方のクラブを打って 気に入ったからと同じ物を購入したからといって 同じ撓りを保証できず 硬さや戻り具合に 何か違和感を覚えても不思議ではありません
今後の課題となる「直線性が欠如し使用に耐えられない程曲がった物」もあります 当店ではシャフトの入荷時 検品をしますが“曲がっていないシャフト”を確保する仕入れ形態、曲がったシャフトの返品可能な仕入れ条件も大切と考えます 特にスティール製シャフトは曲がっている割合が高く 当店の規格、品質上メーカーが良品の規格であっても そのまま装着し 購入して頂けない曲がり方をしている場合が事実多くあります
グリップも重さが一定ではなく 入荷ロットの違いや 同ロットでも±の平均では2g強の違いは当たり前の違いがあります グリップも入荷時点での重量検品をした場合、予てから仕入れている平均重量に随分違いがある場合 交換時のバランス変化が考えられ あまり安いからと一度に大量発注する事は避け(品質、劣化の為)平均重量を きっちりと管理するべきでしょう しかし並行輸入品や箱買い(輸入品は150本入り)の場合 かなりの量を仕入れる為 前回からの平均値との差を 余程考えてからでなければバランスに影響する事を 安く売る為には考えているかは疑問です
 
そういった個体差、品質のばらつきを持ったヘッド、シャフト、グリップを用いてクラブを製作する技術者に 何か特別の資格でも要るのでしょうか? 御存知でしょうがそれも要りませんから ズブの素人でも 三つのパーツが程々振って飛んで行かない程度くっ付いていれば クラブとして売れてしまうのです また組み立て料や装着代、チューンナップ料は確固たる決まりやマニュアルは無くて店、場所、人で価格はさまざまです 
 
それでは消費者にとって本当に素晴らしい品質の ゴルフクラブとはどういう内容のもので どういった技術者が組み立てれば良いのでしょうか? 考え方はいろいろあるでしょう せめて「打ち方が悪いから」と自らの所為にせず クラブがボールを真っ直ぐ遠くに飛ばす根拠立った内容を備えるべきものだと考えますが 残る価格の付け方に係わる要素は誰が、どの様な技法、技術力で 作業し 購入後のメンテナンスを何処まで保証するかという点ではないでしょうか?
「買って、それで終わり」ではものを作る意味がありません ある程度作る人の顔が製作依頼者に見えるのですから(ネットであってもオーダー時の打ち合わせがあるとか 希望のスペックを打ち合わせるとか)何かあれば責任を持つ 対面販売する技術者が考える一番の大事さ これが物づくりの原点ではないでしょうか? 価格の高い、安いは 同じ物であってもゴルフのクラブは 球を打てば違いが出ます 何故か上手く飛ぶ なかなか上手く飛ばない 全く真っ直ぐにも遠くにも飛ばない 価格が高いから上手く飛ぶのではなく 良い材料を上手く組んで仕上げてあるから価格は高くなる これが球が勝手に遠くに真っ直ぐ飛ぶ要素でしょう 安く売る為の材料選びや装着技法 技術者の熟練度は価格が安くなる事と反比例して なかなか難しい事と思うのですが・・・

社会問題化した偽装事件では 高級料亭の材料での産地偽装がありました 但馬産の牛肉が使われている・・・これが実は九州産の牛肉であった事が発覚したようですが 実際九州産では不味いのかと云えば決して不味くはなく それはそれできっと美味しいはずです
産地を偽装するほど「有名で美味しい」と思わせる産地ブランドを消費者にイメージさせ 実は本来より安く仕入れる差額で利益を多く出す これが間違った錬金術であったようです
が、昔からのそういった最高級食材を 最高の技術を持った職人が 時間をかけて 最高の味を出す これが脈々と受け継がれてきた店が 間違ったやり方で手を抜くのは 非常に残念な事です しかし最高の味を作り出す為の材料、時間、技は けっして新聞のネタにならず将来にわたり営々と続くものと思われます

シャフトの曲がりに付いての意見を年が明けて触れていこうと思います。
前記の偽装事件ではないにしても 驚くほど曲がっているシャフトを消費者の皆さんが直面した時 如何思われるか? 当店で購入いただくシャフトの曲がり具合は・・・これら「良い材料の仕入れ」に拘る店主の隠れた一面をお見せして「曲がりの品質・規格・精度」を御覧頂きます