1月10日(木)

NO,213 (シャフトは曲がっているシリーズ 電話での応答

 


 
年の11月初旬、予定していた一台の機材が出来上がってきました
「シャフト直線性測定器」とでも呼びましょうか 内容は“シャフトの直線性精度を数値化して検分できる機材”です 
 当店、店主が開発し 全国のチューンナップショップ、ゴルフクラブ工房、小売店様に向けて販売している「測定機材」の数々は すべて「一本の完成したクラブの状態で さまざまな内容が測定できる事」を念頭に品揃え、御用意しておりますので 今回の機材も当然ながらヘッド、グリップが付いた「一本のクラブの状態」で シャフトのみの直線性が計測、表示できる内容です 当然シャフトのみでフルレングス測定でき 入荷時の検品チェックに活用できる内容で 当初の予定どおり上手く完成したと考えています。
 
パーツだけを個々の状態で いくら多くの数を数値採りし データ本を眺めた挙句に組み付けたところで それらパーツが いくら最新のモデルであり 高性能品ばかりが揃っていても 前回の日報ノートで書き記したように 誰がどのような技法で接着するか? 熟練の技と、基本に忠実で真面目なつくりか?が“良いクラブに成るか成らないか”分かれるポイントになると考えますし 果たしてそれぞれパーツ個々の精度、品質は個体差の中で どれ位の許容、範囲、公差があり 組み上がった状態で使用に耐えうる品質なのか? が心の中では常々心配でした 各々メーカーが工場から出荷する時点で 各パーツ商材としての「公差の範囲」は 消費者にとって果たして本当に大丈夫な“良品ばかりなの?”でしょうか?
 誌面を賑わす毎週、毎月の記事広告や取材記事、広告欄で ウッドヘッドのメーカーや開発者は飛びの良さ、方向性でヘッドの高い機能性を売りとし アイアンヘッドのメーカーも 飛びやスピン性をキャッチコピーにして高性能で優位な操作性を売り グリップメーカーは手のひらへの吸着力やソフトな質感を謳い文句に 色とりどりの華やかさも目だって注目されている今日であります 
 そこにヘッドとグリップの間に存在する最も肝心な「シャフトメーカー」は(ボールの飛びについての)“曲がりの少なさ”や“飛びの良さ”をアピールするのですが・・・

 話は一昨年秋、東京のとあるオフィスにかけた一本の電話から始まります 

当店は2006年の秋口まで 日本国内の輸入エージェント“プレシジョンジャパン社”が扱う商品「ライフルシャフト」「プロジェクトX」「スーパーライト85」等をプレーヤーに数多くお薦めし喜んで頂いておりました ところが春先にある情報が飛び込みました それはアメリカ本国で プレシジョンシャフトを生産する“ロイヤルプレシジョン”を所有する親会社が「他のパートナーに譲る時期が来ている」との見解を示し 会社を売却 米国最初のスチールシャフトメーカー(今から80数年前にユニオン・ハードウェア社で知られた私がこの業界で初めて知ったシャフトのメーカーで社歴は最も古い)としての歴史に幕を下ろそうとしている、という 驚く程では無い「流石アメリカ的」内容のものでした 所詮アメリカでは 持ち主である投資家達が 会社を売る、買う これは当たり前で 儲かっている会社など手放す筈は無く 残念ながら“ロイヤルプレシジョン”は赤字がこの5~6年続いていたとかが業界内で伝えられていましたので 売りに出た事自体は 投資家達の判断としてどうもしようが無い事と考えられます しかし倒産した訳ではなく 現オーナーが売りに出している以上 その後“ロイヤルプレシジョン”を買い上げる会社が 何らかの経営手腕を発揮して 既にラインナップされているシャフトを継続、生産、販売していく事を念じるだけが 日本へ継続的な生産、輸入後に入荷を望む 唯一私の希望でありました さあ時間が経ち何処の会社が買い取るか・・・ ところが数ヵ月後に買い上げたのが!ナント! あの世界的、ガリバー的シャフトメーカー“トゥルーテンパースポーツ社” で “ロイヤルプレシジョン”の特許、商標、ブランドネーム、設計、意匠、そして同社が持つ若干の在庫の全てを購入したと発表したのでありましたから 私の胸の内は 残念と心配が交互に感じられたのが あの時受話器を握らせた最大の原因でありました
 
それまでに“プレシジョンシャフトブランド”は入荷する毎、シャフトの品質は極めて良く 薦め、扱う側から 最も自信があるメーカーで(日報ノート01年8月24日 No26 プレシジョンシャフトについて も参照下さい) シャフトメーカー他社の品質、規格からは一日の長がありました 片や“ツルーテンパーブランド”は比べると 品質はそれらに及ばず返品・交換を余儀なくした その原因が「シャフトの直線性」の問題に欠けていた部分がポイントだったのです
私は電話口でお願いしました
「この度プレシジョン社を買い取り 益々巨大化するシャフトメーカーになられるのであれば過去から少々公差が大きいのか 出荷時の品質検査が甘いのか・・・?是非“旧プレシジョンシャフト”のような直線性を持つクゥオリティーで生産 仕上げて頂き より良いものを 今後は本国アメリカの工場、生産品質に期待している」
と 過去からの直線性の問題に係わる苦い経験をいろいろ話し、お願いしました また 
「現在、品質・出荷の検査方法は 本国出荷時と日本到着時と どういう規格・管理チェックをしているのか・・・」など シャフト1本1本の品質管理(チェック手順、方法、その許容誤差)、検査方法(抜き取り?全品?)を聞かせて欲しいと懇願しました その内容をきっちり聞きだし 果たしてその通りであれば規格の甘さ、そうでなければ現実を直視し 是正するべきだと考え 教えて頂こうとしました 当然、電話口の お話した相手はツルーテンパーシャフトの国内輸入エージェントで相応責任のある立場の方です 私は当然 電話の当初に自らの屋号、名を名乗りました ところが突然の電話で 聞いた事も無い“高が大阪の工房のオッサン”と思われたのか 私如きオッサンが懸命にツルーテンパー社製シャフトが直線性に欠ける問題点を シャフト業界を寡占化する勢いのメーカーであればこそ最大限指摘する事で 精一杯善処して頂けるだろう返答だけでも を、私なりにその場で 期待した思いは切実でした が、  
「貴重な御意見有難うございます まぁ 昔から比べると良くなって来ましたが・・・」
との あっさりした、まるで他人事のような返事でした これには流石にカチン!ときましたが 興奮すると“血圧があがって身体に悪い”と思い 
「突然の電話に恐れ入ります 何卒宜しく御検討下さい」
と、その場はそれはそれで 当たり前のやり取りと考えるべきであリ 一人で興奮していたと少々冷静になり一度電話を置きました
どうもその直後から私の血圧は 上がり気味であったのかも知れませんが・・・
ただ少なくとも
 “シャフト業界で 30年間以上に亘り その当時(学生ゴルフ時代)から存在するダイナミック(その当時)現ダイナミックゴールドシャフトを始め ツルーテンパー社製は 私が経験した限り かなりの率で曲がっている、という現実を消費者が知った場合「アッそう」では済まされないくらい「スティールシャフトの代名詞」となっているメーカーであり 昨今の国産軽量シャフトが流行る中においても プロゴルファーの高い普及率があり 他にも数ある定番シャフト群について「曲がり公差の許容範囲」が 大きく問題化する事を懸念する気持ちが 消費者と直に接してチューン、クラフトする技術者の側からメーカーに注意喚起で発した会話であった“と未だ思っています
(日報ノート04年5月14日 No157 シャフトは曲がっている も参照下さい)
上記のこういった返答がされなければ 年が明けてその翌年(去年)の 東京ビッグサイト“07年”用品展示会期間中ドクターオットー氏との話しがされなかったと思いますし 今日この記事を書き記し ひょっとしてお読みになる消費者に不安を投げかけたり また今年の東京ビッグサイト“08”用品展示会に出展展示する「シャフト直線性測定器」をデモする事は無かったと思います

続きは次回 日報ノートNo214 シャフトは曲がっているシリーズ ビッグサイトにて をお待ち下さい