7月18日(水)

NO,260   尋ねられた電話の内容、補足

 


 
先日休みの日、ゴルフ用品業界で メディアの仕事をされている方から、車の運転中に電話があり 
「中井さんにとって ゴルフクラブ工房とは? ゴルフ用品業界で 如何いう立ち位置、存在ですか?」と、突然聞かれました。
運転中でしたが 実にスムース、簡潔明瞭に答を述べました時の内容です。
「クラブ業界にとって 量産品の規格、品質内容は まったく納得できるレベルではない。クラフトを専門とする側にとって そのことを問題視するまでも無く、それは量産品の限界であり 宿命と思う。
そこで工房は 個人消費者が 量産品では納得できず きっちりチューンナップ、カスタムメイドできる内容を備えた技術、経験を持ってクラブ作りが可能な立場でお答えする場所を提供するものであろう。」
と、回答しました。

 当店に来られる大半の方は 一流ブランドと呼ばれる 大手メーカーのクラブを持ち込んで来られます。
しかし、ロフトやライ角度はバラバラで ネックにバランス合わせの鉛や真鍮が放り込まれ 打点はネック・フェース側寄りに移動され、シャフトのスパインはロゴマークが綺麗に裏向きに揃っていて 本来のシャフト挙動とは違い番手間で合っておらず、グリップは手の大きさに係わらず 実に細く仕上げられている。
ちょっと前向きにクラブ理論、物理を紐解き 聞く耳をお持ちの考えがあるゴルファーなら どう考えても真っ直ぐ、上手く飛ぶ筈など無いことが 直ぐに分かって頂け 当方の話に聞き入って頂けます。
 シャフト自体も撓っている場合が数多く見受けられ 本来は真っ直ぐの筈が曲がっていてもヘッドに組み付けられていると分かる筈もなく ダウンスウィング時、オンプレーン上のヘッド挙動の可笑しさは 真っ直ぐな良品と比べることもできず 14本のセットとしてお使いになっています。
アイアンのシャフトでは 誰でも人気の NS 950GH が装着されているのが大半です。
実に良くできたシャフトで 軽いなりに多くのファンが存在する理由は それなりに説明できます。
ハンディキャップボードどおり ゴルファー人口の割合比率は そう上手くないゴルファーが大半を占め、スクラッチに近い方や、まだ両手が必要なシングルハンディキャップをお持ちの方の割合は10%前後でしょう。
ハンディキャップの構成比どおり 軽量シャフトが振り易く、合っていると思ってしまっている方が多いことで人気が有るわけで 少し重たいシャフトが必要な方々も ご自分には軽すぎることすら分からず 一斉に使っているのですから アンダースペックでありながらも 分からず使えてしまうことは 実は怖い兆候です。
950より重たければ ダイナミックゴールド、モーダス120あたりしかなく 両極端で他に選択肢はありません。アイアンはグラファイトシャフトが装着されている60g〜70g台前後の軽いタイプが多く、ウッドであれば オリジナルグラファイトシャフトは 50g前後、重くても 60g台が良いところで 70gクラスが欲しければ カスタムでオーダーしなければ装着されず 殆どの方がアンダースペック気味のものをお使いになっています。
 これは 店頭で販売する売り子の彼らが 決してオーバースペック気味を薦めて売ることは許されず、「アンダースペックがまだよろしい」という “店側にクレームが無いように” との指令から成り立っています。
ネットで買う方も多くなってはいますが、よほどクラブ(シャフト)の知識がなければ分かる筈もなく、一度は“専門の知識を持った者であろう販売員” を頼ってお聞きになった上でポチッとされるのでしょう。
偶にオリジナルグラファイトシャフトではなく カスタムラインでアフターマーケット用のシャフトを付けることができるメーカーも存在します。
それは大手4大ブランドと呼ばれる グラファイトデザイン・フジクラ・三菱・USTマミヤ製が用意されますが
これ等シャフト大手メーカーが用意する内容、バリエーションで充分であるかどうか?は、実はまったく不足状態です。
 すなわち、大手のメーカーのドライバー用シャフトは毎年毎年新しいモデルを用意する時、当然量をたくさん売らなければなりません。
これは企画上、売れずに終わる失敗は許されません。少なくとも万人に向いた あまり癖の無い無難な内容を作って ヤレ、新製品が飛ぶの、曲がらないのと囃したてては 次々発売するのですが 毎回毎回、極端な癖、撓り戻りに違いがあれば 好む、好まないが極端に出て売れる量に係わりますので 無難な低い平均点を目指すのが大手メーカーの大半です。
とは言え、多くのマーク(種類)をアフターマーケット用に出しているメーカーもありますが 量が多いとドレが良いのか?選定に困る痛し痒しの部分でもあり すべてがカスタムクラブに装着できる対象シャフトではありませんし それを見極められる販売員も そう多くいるのかは疑問です。
ヘッドとて 量産にまつわる品質、規格上 最も問題視するべきは ヘッドの重量です。
外注先工場へ委託生産するメーカーが殆どで 稀に少量生産する社内工場であっても 十分な時間とコストをかければ良い物は出来上がってきます。
ところが、早く・安く・量を作るとなると何かが欠落します。
それが個々番手の重さです。
 アイアンヘッドの場合、一人の職人(今は職工しか居ませんが)が 1時間に10個だったら良い品物を作ることが出来る態勢でも シーズン間際には15個作らなければならないのが量産工場の使命です。
そうなるとヘッド1個の重さを 決められた重量にピッタリ合わせていては 10個/1時間 しかできませんから 15個/1時間 を求められると 規定の重量に届かなくてもOKであり、超えて商品化するとバランスが出過ぎて NO GOOD になるので 軽めのヘッドは荷受されて組み立てられるのです。
大手メーカーブランドのアイアンヘッド、ネックに鉛棒や真鍮の芋虫状のウエイトが仕込まれ カタログバランスに合わせているのはその為です。
 ウッドヘッドの場合は 鍛造ヘッドに溶接は必要ですから個々の数値アングルに関わりますし 鋳造ヘッドは重量にも影響します。
ウッドヘッドの企画上、ソールに入った10.5度の表記ロフトは リアルロフトは11.5〜12.0度実際にあっても “10.5” と表記され またそれが個々の違いで コンマ数度、多くても、少なくても すべて同じ 10.5度 で売られています。 ヘッドが空洞のウッドですら シャフトの先端に 前記の鉛棒や真鍮の芋虫状のウエイトが仕込まれ バランスを保っているのは量産メーカーの泣き所です。
詳しくそれ以上、この場で述べませんが、量産品の品質、規格レベルを上げようにも 今の値段で 量をたくさん売らなければメーカーとして 工場機能、生産効率が合わず また、新製品の投入までにダンピングしてでも量をさばく小売店の立場も考えなければなりません。 

 そういったことで 確かに限界があることは 少なからずお気づきの方が 既に御出での筈ですが、我々クラブ工房側の立場で どういった商売がされているのでしょう。

 次回に続く